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女子中高生のための関西科学塾2016 日程D実験16 「私たちは土を食べている」

女子中高生のための関西科学塾2016 日程D実験16 「私たちは土を食べている」

11月20日(日)に行われた第10回女子中高生のための関西科学塾日程Dに実験プログラムを提供しました。対象は高校生,参加者は9名で,土壌の分析実験を行いました。植栄研の大学院生2名(小田・西田)もティーチングアシスタントとして参加しました。

当日は「私たちが土を食べているとはどういうことか」についての間藤教授の講義から始まりました。

講義の後,実験に使う土壌試料の採取地を見学に行きました(土壌試料は事前準備の都合上,あらかじめ採取しておきました)。採取地は”畑”とその隣の”自然植物園”です。

<土壌試料採取地その1> 耕作を始めて5年目の畑 砂質です 手前からふた畝目のナス栽培跡地の土と生徒さんたちが立っている通路の土を試料としました

<土壌試料採取地その2> この辺りの土が比叡山に由来することや畑の土との違いについての説明を受けているところです

実験室では,C/Nコーダー分析装置を用いる窒素含有量,炭素含有量測定,RQフレックスを用いた硝酸態窒素測定,原子吸光分析装置を用いたカリウム量測定などを行いました。実験は順調に進行し,生徒さんたちが最も苦戦したのはひだ折りろ紙を折ることでした。

測定結果を表1にまとめました。

表1 土壌試料の分析結果(値は風乾土あたり)

土壌試料

全窒素

(%)

全炭素

(%)

C/N比

有機物

(%)

植物園1

0.21

3.11

14.8

5.37

植物園2

0.05

0.75

14.1

1.29

通路

0.04

0.44

11.4

0.77

ナス跡南

017

1.68

10.1

2.89

ナス跡北

0.26

3.11

12.0

5.36

土壌試料

EC(1:5)

(µS/cm)

硝酸態N

(mg/kg)

水溶性K

(mg/kg)

交換態K

(mg/kg)

植物園1

14

n.d

20.9

163

植物園2

14

n.d

28.1

127

通路

11

n.d.

14.0

63

ナス跡南

54

5.6

49.5

354

ナス跡北

63

7.9

73.9

448

有機物量は炭素量に係数1.724をかけて算出した
n.d.:検出限界以下

受講生の皆さんへ
表1では数字を見やすくするため,硝酸態窒素とカリウムの値の単位を(mg/kg)としています。計算した(mg/g)での値に1000をかけて換算してください。

参考に,畑土壌での標準的な値をあげておきます。肥料を与える前でおおよそ, EC(1:5)100~300µS/cm, 有機物3~8%,硝酸態窒素7~35mg/kg, 交換態K125~330mg/kgが標準的な値です。

表1の結果をからどんなことがわかるでしょうか?
通路とナス栽培の跡地土壌を比べると,どちらも土壌そのものは同じはずですが,畑では肥料を与えて作物を栽培しているので,硝酸態窒素やカリウム含有率が高くなっていました.これら水に溶け出すイオンが多かったので,それを反映して電気伝導度(EC)の値も高くなっていました.植物園土壌には毎年樹木から落葉が加わりますので,全炭素や有機物がたくさん含まれていました.一方、肥料から来る硝酸態窒素や水溶性Kは低かったです.また,土壌中の炭素と窒素の比率はだいたい一定の値に収束することもわかります.同じように見える土ですが,含まれている成分は土壌の使われ方で大きく変化することがわかりました.

ティーチングアシスタントからのメッセージ
先日は長時間お疲れさまでした。
実際に研究室で実験をしてみてどうでしたか?
楽しかった、はたまた想像していたのと違った・・・など様々な感想があると思いますが、何か一つでも得るものがあったなら幸いです。
この先皆さんが進路選択をするときに、今回の経験が少しでも活かされればいいなと思います。
私たちは「植物栄養学」という分野で学んでいますが、同じ農学研究科内だけでもまだまだ多くの分野があります。
ぜひ今後も色んな経験を通じて、皆さん一人一人が学びたい分野を見つけてほしいと思います。
(小田)

初めてのことばかりだったと思いますが、楽しそうに進んで実験しているのが頼もしかったです。土のことや食料のことや周りにあるたくさんのことに興味を持ってチャレンジしてみてください。
(西田)