高等植物は光合成によって光エネルギーを化学エネルギーに変換し, この化学エネルギーを利用して無機物質から有機物質を合成します。 例えば,二酸化炭素から糖を,硝酸イオン,アンモニウムイオンからアミノ酸, タンパク質を合成する能力を持っています。 この変換能力ゆえに,高等植物は土壌からの無機養分と水分, 大気からの炭酸ガス,そして光があれば一生を完結することができます。 そして動物は植物の無機物を有機物に変換する能力のおかげで栄養を摂ることができます。 植物栄養学は高等植物だけが持つこの無機物を有機物に転換する能力 を研究する学問領域です。
植物栄養学はもともと作物を増産する手段として 化学肥料の作用を明らかにすることを目的としていました。 しかし農業の質的変化に伴い,窒素,リン, カリウムなど 肥料成分と収量の関係だけではなく, カルシウム,ホウ素などの必須の無機元素の代謝栄養生理の研究, 土壌中に多量に存在して植物の生育に影響する元素 (ナトリウム,アルミニウム,酸性) と植物の相互作用の研究, 土壌-作物-環境のあいだの植物栄養元素の循環, などについて基礎研究を行うようになってきました。
植物を対象とする研究分野,研究室はたくさんあり, いろいろなアプローチが行われています。 京都大学植物栄養学研究室では, 植物の無機栄養元素の機能を明らかにすることから, 植物の生理,植物と環境の関係を明らかしていこうと考えています。